"All rights reserved" をコピペする前に考えること

連載コラム: 増田聡 「私はクリエイティブ・コモンズを(たぶん)使わない」
昨日はぼんやりとした違和感だったけど、ちゃんと書いてみることにした。
クリエイティブコモンズの利点は「自分の作品について、単純なルールを決めて、それを明示することができる」だと思っている。なので、

それはひとまず、創作行為やその帰結を極力「法の支配」の元に置くことが望ましい、とする発想であると名指すことができる。

なんて表現は、ちょっと重すぎる。クリエイティブコモンズは創作行為の結果だけをどうこうするものだし、何がよくて何がだめかというルールはわかりやすいほうが良い。

いったんコモンズ領域に送られたコンテンツを、再び「私的所有」の領域に戻すことはできないのだ(注1)。あるとき思い直して、自分の作った音楽や映像の(他人による)コピーをコントロールしたいと思っても、クリエイティブ・コモンズのライセンスの元で公開されたものを取り戻すことはできない。

もし戻すことが自由に出来たら、共有地が地雷原になってしまう。クリエイティブコモンズのライセンスがついた楽曲を BGM として映画に使ったとする。もし上映直前に作曲者がそれを私的所有に戻せたら?
"All rights reserved" と "Some rights reserved" が並んでいて、そこから "All rights reserved" を選ぶなら、もちろん、それは個人の自由だ。ただ現在は "Some rights reserved" という選択肢は、十分には知られてないと思う。
"All rights reserved" はコピペするものじゃなくて、選べるうちのひとつですよ。